2007年04月
ミネアポリスには30以上の劇団(パートタイムを含めるともっと)と100以上の劇場(コヒーショップや教会などは数に入れず)があると言われています。青少年のためのシアターやダンスのスクールやトレーニングクラスなども数えきれない程。
権威あるトニー賞に輝くガスリー劇場を始め、アメリカでも数少ない子供専門の劇団「チルドレン・シアター・カンパニー」、倉庫街のユニークなスペースを劇場にし、常に古典作品を奇抜なアレンジで見せるシアター・デ・ラ・ジューン・ルーンがここ数年トニー賞を受賞しています。
今もニューヨークで大ヒットを続けているディズニーのミュージカル「ライオンキング」は、ミネアポリスでプロダクションをテストし、ワールドプレミアが行われました。
全米数都市だけの公演とされるものや、ダイレクトにロンドンから公演にやってくるショーもあり、パフォーミングアーツの好きな私にとって、ミネアポリス/セントポールというのはとても良い場所です。
ようやく英語もなんとかなるようになったので、ここ数年はじっくりと会話で進行する芝居も観に行くようなりました。地元シアターで行われるものには、当たり外れもありますが、ここのシアターは結構レベルが高いというのが今のところの感想です。
先日、ロンドンで数年前に公演された創作バレエ「エドワーズ・シザーハンズ」(映画が土台になっているものです。)を観に行ってきました。ショーのあるオーッドウェイ劇場はガラス張りでセントポール市街の公園に面した、いかにも劇場という趣きのシアターですが、今回は植木を何でも形に変えてしまえる主人公のエドワードにちなんで、シアターの前庭や劇場内に動物の形をした大きなトピオリがそこここに飾ってありました。粋な演出。
バレエは最近はブロードウェイでも振り付けやミュージカルで有名になったマシュー・ボーンの作品。映画のオリジナルスコアと、アメリカの60年代のポップな音楽を取り混ぜて、なかなかのショーでした。その後、ポストショー・トークがあるということでしたが、「う~ん、ま、いいか」と帰ってしまい、後で、マシュー・ボーン当人のトークだったと聞いて、思いっきり悔し泣き。
そういえば、「ライオンキング」の時も演出とパペットデザインを担当したジュリー・テーモアのトークがあったことを思い出しました。こういう「嬉しい」サプライズが結構あるのが、ミネアポリスです。ただの中都市とは侮ってはなりませんよ。
地元やアメリカの小劇団の作品を楽しみたいなら、毎年8月に行われる「フリンジ・フェスティバル」。パフォーミングアーツならダンスも音楽もポエムもすべて観られます。ヨーロッパやカナダなどでも有名なフェスティバルですが、ミネソタのフリンジ・フェスティバルは全米でも第3位に規模の大きいもの。地元だけでなくヨーロッパやカナダも含めた様々な劇団、パフォーマンスグループがエントリーします。
これまでにアパートの一室で行われる芝居、車の運転席と助手席で行われる芝居(観客は後部座席に乗れる2~3人だけ)、室内プールを舞台にした芝居など、とにかくユニークなものが一杯。あるパフォーマンスは、目抜き通りを数ブロック、ただひたすらスローモーションのように歩くだけ。通り過ぎる周囲の人のリアクションを観るのがショーというとんでもないアイデアでした。こうした実験的なものを試すことができるのも、それぞれのショーが10ドル以下という安さと、ほぼすべてのショーが1時間以内という短さのためでしょうか。
ブロードウェイのショーだけでなく、こうしたものも一度は試してみると、アメリカの知的な
趣味人たち知り、文化の一端を見ることができます。
今年の芝居やパフォーミングアーツ、ミュージカルなどのスケジュールはwww.meetminneapolis.comで検索できます。
確かにマンハッタンやシカゴ、サンフランシスコといった街に比べれば規模は小さい街並ですが、「大草原にぽつん」という町ではありません。(ミネソタ州はあのテレビシリーズでもお馴染みの「大草原の小さな家」の舞台なのですが。)ほんと、「意外に」アーバンなミネアポリスなのです。
身びいきで申し訳ないのですが、ミネアポリスというのは、「街」でありながら、ごみごみした雰囲気がないと思います。(そりゃごみくらい落ちていますけどね。)ビルが途切れた辺り、ミシシッピ河沿いには整備された公園と遊歩道が緑に囲まれているし、ビルもどちらかというとすっきりしたデザインが多いのです。私の好きなダウンタウンのビルは、アメリカン・エクスプレスのビル。(3rdアベニューと10thストリート)ビル一階の右側のガラス面を水が流れ、その向こうに木が見える「ウィンターガーデン」と名付けられたデザイン。デザインしたのはワシントンDCにある有名なベトナムメモリアルの壁をデザインした女性。また、ミネアポリスで一番高いビルとされている IDSタワーは、ビル一階が高く吹き抜けになっていて、木立とベンチや噴水が冬でも陽射しに囲まれています。
ビルの壁面にショパンの楽譜が大きくペイントされていたり、歩道に人型のアートとポエムが刻まれていたり、コンベンションセンターの壁の一部が3Dのフォトコラージュで飾られていたりと、とにかく街中に「ひといき」ついている場所があるんです。こういうところが、私はとても好きです。
「意外に『街』ですね」という感想の中には、「大都市」じゃないけど、「ちょっといい街」という意味合いを読む私は、本当に身びいきなのでしょうね。

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