2007年08月
ミネアポリス市内にも7、8件の日本食、寿司レストランがあるのですが、美味しいものとそうじゃないものがあって、やはり「アメリカ人向け」の感じです。それならいっそお醤油味が恋しいときは、「パンアジアン」無国籍風料理を楽しみたいと、最近ではそういったレストランへ行く事が多くなりました。
90年代からアメリカで人気が上昇した「アジアンミックス」のコンセプトのお洒落なレストランはミネアポリスでも定着しています。勿論それぞれのアジア料理のレストランもきちんとありますが、アメリカン・ニューキュイジーンとしてお醤油味がメニューを席巻しているのが嬉しい限りです。(これでお茶碗に白いご飯があればと思う事も多々あるが。)
モダンアート美術館のウォーカーアート・センターの新館、お洒落なレストラン「20.21」は日本でもお馴染みのシェフ、ウォルフガング・パックのレストランですが、メニューはほぼアジア料理のオンパレード。タイ、中華、ベトナムなどの良い所取りといった感じで、ファッショナブルなインテリアの中で丸ごと魚のフライにショウガ醤油のソースなんていう食事を楽しむことが出来るのです。突き出しで出される「インゲンの唐辛子炒め」なんて、もうこれだけでご飯を食べさして!っていう感じ。お勧めです。
また、アップタウンのファンキーなレストラン「チノ・ラティノ」はアジアン・テーストとメキシカンや、カリビアンなどをミックスしたメニューで人気があります。韓国風の焼き肉とシュウマイなども食べられて、圧巻は何といってもポリネシア風の「豚の丸焼き」でしょう。(必ずグループで注文しましょう。)百貨店の大食堂じゃないけれどパエリャと餃子とタコスを同時に注文できるという所が面白いですね。勿論一工夫がしてあるんですけども。(つけるソースなどにね。)
イートストリートと呼ばれるニコレット・アベニュー。その通りにある「エイジア」はマルチ・アジアンメニューのお店。オーナーのトム・ファムはベトナムからの難民として努力の末に今や4件の人気レストランを経営する青年です。彼の2件目の店が「エイジア」。母国ベトナムの料理だけでなく、日本、タイ、インド、モンゴルといろいろな国の風味を創作料理にしています。若者や街のお洒落な人々に親しまれていて、週末ともなるといつも満員。そんな中でいつもひときわお洒落なファッションで忙しく歩き回っているのがトムです。ここではスープのメニューに「みそ汁」もありますよ。ちりれんげでまず前菜として呑む味噌汁は、困りモンですが。
和食が恋しくなって、でも「アメリカ風」の日本食がちょっとね、という時はこうした「パンアジアン」料理はいかがでしょうか。
ジョッシュ・ハートネットは日本では「ブラックホーク・ダウン」や「パールハーバー」などで知られているんじゃないでしょうか。若手でもいろいろな役柄、映画に挑戦する男優です。彼は私の男友達や多くの友人が卒業したミネアポリスの高校、サウス・ハイスクールを卒業しています。このサウス・ハイスクールというのは、自由でアーティスティックな校風で知られている高校です。地元で活躍するミュージシャンなどにはこの高校の卒業生が多いことも何となく納得できます。
ミネアポリス/セントポールは演劇界で権威あるトニー賞を受賞した子供劇団のチルドレン・シアターの他にも多くの青少年が演劇に参加する事のできるシアターがあります。ジョッシュ・ハートネットもこうしたユース・シアターで演技を始めたといいます。そのせいか、彼は地元シアターの基金集めなどにも協力しています。
彼は時折家族や友人と過ごすためミネソタに戻ってくるようで、ミネアポリスに自宅を持っています。噂によるとウェアハウス地区のコンドミニアムのペントハウスを購入したとのこと。例えば、キムタクとの競演がきっかけで友達になって、キムタクがミネアポリスに来るなんてことにならないかなぁと期待しているのですが。(ダメかな~空しい夢。)
ガスリー劇場はもともと1960年代から続く質の高いリージョナル・シアターとしてシェイクスピアをはじめ古典から現代劇まで、数々の名作を上演してきました。このシアターの特徴はすべてのプロダクションの衣装、小道具、舞台装置を現場で製作するということ。バックステージには本格的な製作現場が展開しています。
そして、このガスリー劇場の人気プログラムの一つが常時行なわれている「バックステージ・ツアー」なのです。日曜日を除く午前10時から、約45分くらいのツアーで、一人大人8ドル、学生/シニア4ドル。建築デザインのユニークな建物と舞台裏として衣装製作場、舞台装置や小道具の制作現場、控え室や練習所など、そして余程のことがない限りステージも見学できます。衣装は布を染めるところから始まり、デザインもその背景や歴史を詳細に調査して作成されます。鬘の頭の型がずらりと並んでいる様子や次作のための衣装が製作されているところを目の当たりにすると、妙に興奮するものです。小道具もアクセサリーからインテリアまですべて作られます。舞台に設置される前のそうしたセットを見ると、魔法の一部を覗き見したような気分になります。
シアターの建物では「エンドレスブリッジ」と名付けられたミシシッピ河に突き出した空中回廊が人気の一つ。安定と強化のためにエッフェル塔が2つ建つほどのスチールを使用しています。河の眺めが最高の野外デッキですが、最近起きた橋の倒壊現場に近いので、事故直後はここから現場を見ようと数日間に約2万人以上の人が訪れたそうです。(哀しいですが。)
3つの異なったスタイルのステージ、クラスルーム、9つ以上のバー&ラウンジなどモダンで異色のシアターと本格的な舞台裏のツアーは、滅多にできない体験です。ミネアポリスを訪れたら、必ずやって欲しいですね。
ツアーの後は一階に併設されているレストラン「Cue(キュー)」でランチなどもお勧め。超モダンでファンキーなインテリアのレストランは、観劇前後のディナーやカクテルに利用されています。(ちなみにシアターの閉まる月曜日はお休み。シアターに入る事はできます。)
バックステージ・ツアーの後、その夜に実際観劇なんていうのもいいかも知れません。15分前まで、あの控え室に俳優たちがいたんだなぁと思いつつ劇を観るのも面白いものです。英語が苦手という人には、クリスマス恒例ディケンズの有名な「クリスマス・キャロル」がお勧めです。ホリデームード一杯で、お話もお馴染みのものですから、結構楽しめます。
www.guthrietheater.org
ワシントンDCのホワイトハウス内にはアメリカの代表的な景観を描いた1800年代から1900年代初頭の作品が展示されていますが、その中にこのセントアンソニー・フォールを描いた1858年の作品も含まれています。
雄大な大河ミシシッピ河とセントアンソニー・フォールは、実はアメリカの原風景でもあるのです。今こうして滝を眺めると、こんななだらかな滝が一つの都市を造りだしたのかと、驚いてしまいます。
8月の橋の倒壊で景観が少し変わってしまったミシシッピ河畔ですが、この滝は変わらずとうとうとミシシッピ河に流れ落ちています。
現在行なわれている特別展は国内でも7ケ所のミュージアムのみ公開されるもので、火山噴火で埋没した有名なポンペイの遺跡と歴史を展示するイタリアから直接やってきた展示です。
ご存知のようにベスビオ山の大噴火によって崩壊したローマ時代の港街ポンペイ。一瞬にしてそのままの姿勢で炭化した人の形、豪華だった生活を物語る遺跡や発掘物が今回展示され、当時の生活と運命の日を如実に観せてくれます。これだけの企画が行なわれる博物館がミネソタにあるというのは、嬉しい限りです。
多くの科学博物館がそうであるように、館内は老若男女、大人も子供も楽しめるように工夫がされています。実際に体験できるものから、専門的に掘り下げた展示まで、じっくりと見てまわれば、ゆうに半日は使ってしまいそうです。建物の中もミシシッピ河の景観を取り込むガラス張りの窓や、明るくて居心地の良いカフェ、面白いものが一杯のギフトショップとなかなかです。また、ダイナミックな視聴体験ができるオムニシアターも人気があります。
ミシシッピ河源流のあるミネソタ州の博物館というだけあって、河について学ぶ事のできるギャラリーもあります。ユニークなのは、博物館の外にあるビックバックヤードというパークです。有料ですが、ミニゴルフや迷路などもあって楽しい場所です。これからも続々と面白い企画がやってくるようで、楽しみです。
www.smm.org
こうしたコーヒーショップは、文化の発信地でもあり、コーヒー一杯でただの「喫茶店」というものを越えた空間として、生活や旅を楽しませてくれます。多くのコーヒーショップの壁は地元アーティストたちのショーケースです。展示された写真、絵画を鑑賞し、結構気に入って安いアートのお買い物ということもあります。また、コーヒーショップではライブ・ミュージックを楽しむこともできます。夕刻からアコースティック音楽やジャズなど様々な音楽が演奏されます。小さいながらもシアターを併設した所もあり、地元のパフォーマーたちの作品を上演したり、映画会を行なったりします。
日曜日に簡単な礼拝を行なうコーヒーショップというのもあります。かたくるしく教会に行きたくないけれど、という人たちが集まるそうです。フランス語や日本語、イタリア語などを自由に練習する集まりを定期的に行なうコーヒーショップなどもあります。ただ、決まった時間にそこへ行くと、「話したい」人たちが集まってくるのです。この他、本の著者を招いた読書会、レクチャーなど、とにかく「コーヒーでも呑みながら気軽に」という催しが、いつもどこかで行なわれている訳です。
コーヒー一杯で、ギャラリーやライブハウス、シアターなどに行く感覚。ミネアポリスという街を日常感覚で遊ぶツールの一つです。
シアター(芝居)の好きな私にとって、毎年8月は楽しいイベント「フリンジ・フェスティバル」の季節です。日本でもスコットランドのエジンバラで行なわれる芝居とストリート・パフォーマーの集まる「フリンジ・フェスティバル」が有名ですが、世界各地、全米各地で大小様々な「フリンジ」が行なわれます。オルタネイティブ・シアターを称して使われる「フリンジ」。フェスティナルに参加するのは抽選、選考などはいっさいないのが普通です。プロも素人もパフォーマンスしたい人が規制にとらわれず、自由に独自の作品を発表する場所、それが「フリンジ」です。ミネアポリスの「フリンジ」は全米でも規模の大きい方で、年々パフォーマンスの数も増えています。芝居、ダンス、ミュージック、詩の朗読など、とにかく多彩なパフォーマンスを観ることができる反面、全く選考がないので、なかには酷いものもある訳です。だからというか、チケットも安く、また最近では「ブログ」というツールが非常に役立っています。観た後なら、感想を述べるのは自由だからです。
多くは英語の理解力を必要としますが、創作ダンス、音楽、子供向けのものは英語が苦手でも楽しめます。実験的なものは英語が理解できなくても、とにかく「変」なものを観たいというだけでも大丈夫。例えば、数年前には車の後部席に観客が乗り、運転席と助手席でお芝居が進行するという作品があり、大人気でした。(一度に2、3人しか観客をとれない芝居というのも~)
また、大通りをただひたすら傘をさして、とんでもないほどゆっくりしたスピードで歩くだけ~というパフォーマンス(というのかな?)もありました。これは観客は周りからそれを眺め、通りを行く一般人の反応を観るという、非常にユニークなもんでしたが、「いちゃもん」をつけられたりしないように、スタッフが遠巻きに控えているというのもスゴかった。
プールの水面に仮設されたステージで行なわれる芝居というのもありましたね。(船酔いしそうな設定。)観客はプールサイドから観るのです。
こうして毎回「どんな奇抜なものがあるやろう」とわくわくするのもフリンジの良さ。パフォーマンスの場所もシアターだけでなく、コーヒーショップやバー、教会など様々。そんなカジュアルでアバンギャルドな雰囲気だけでも楽しいものです。
フリンジボタンというバッジを3ドルで購入すると、リストアップされたレストランや一般のシアターなどのスペシャル・ディスカウントも利用できます。(アップタウンのカフェ「フレンチメドウ」では10%オフ。)www.fringefestival.org
ダウンタウンの横を通りミネソタ大学西側キャンパスの脇を北部郊外へ向かう州間高速道路35号線(I-35W)のミシシッピ河にかかる橋が、昨夕6時4、5分に倒壊しました。国内ニュースだけでなくBBCワールドや日本のニュースでも大きく報道され、昨夜も延々とCNNなどでも報道を続けていました。この橋、ミネアポリスというか首都圏に住む人は皆頻繁に利用する橋です。ミネアポリス市内の野球場メトロドームの横を通っていて、渡った周辺には大学生たちが住むアパートや寮などがあります。
ミネアポリス側の橋の下には「グランドラウンド」という名称で全米指定をされているシーニックバイウェイ(景観道路)のコースとなっているウェストパークウェイが通っており、河畔の美しい景色で有名な場所です。すぐ横にはミシシッピ河でも珍しい2段差2ケ所のロックダムもあります。リバークルーズにのると、ちょうどこの橋が前方に見える2ケ所目のロックダムの手前で船が折り返します。
しばらくは惨事の後が景観に加わるのかと思うと胸が痛みます。
それにしてもミネアポリスは今年始めに全米で最も災害、非常時の際の各部署の連携が整っている街と評価を得ただけに、事後の対応は早かったと思います。また、本当にミネソタの人々(というかアメリカ人)は非常時にとっさに援助を惜しまないというのが、惨事があるとよく納得できるのです。自分も必死で車を抜け出した被害者が間髪入れず他の被害者を助けたというニュースも流れ、ありがたいことだなぁと思いました。
一部日本の報道にあるような「混乱が続いている」というようなことは全くなく、原因究明と安否確認、事故現場の安全確保が着々と進められてます。翌朝の空は青々として雲一つなく、毎週ダウンタウンえ行なわれるファーマーズマーケットも通常通り早朝から立ち並び、色鮮やかに売られている花々が事故などなかったような美しさです。
ミシシッピ河に初めてかかった橋は「ヘネピンブリッジ」。最初に伝道に訪れた
ヘネピン牧師の名前がつけられています。元々木の吊り橋がかかっていた所に今はコンクリートの吊り橋がかかっています。世界で一番短い吊り橋だそうです。夜間に遠くから見ると灯りに浮かび上がってなかなかです。この橋の上にあがる花火も豪快です。
昨日まで、ミネアポリスのダウンタウンからミシシッピ河には7カ所の橋がかかっていました。今歴史史跡として歩行者だけに解放されているストーンアーチ・ブリッジも美しい橋です。
倒壊した橋の復興にはしばらくかかることでしょう。人間が掛けた橋、完全に安全という事はないということを知りましたが、人々を繋ぐものだけに、これからしばらく街の景観に組み込まれた事故現場を見るのは哀しいばかりです。
実はフィッツジェラルドはミネソタ州の州都セントポールの出身です。青年となってからも一時期両親とともにセントポールの今も高級住宅街として知られているサミット・アベニューのアパートに住んでいた事があります。フィッツジェラルドはこのアパートで「楽園のこちら側」などを執筆しました。今も彼の住んだ家はそのまま一般の家として居住者がいますが、玄関ドア脇にはフィッツジェラルドが暮らしたことを記すプレートがはめ込まれています。
サミット・アベニューは市内とミシシッピ河を見下ろす丘の上にある、ビクトリア調の邸宅が並ぶストリートとしてはアメリカ最長と言われています。州知事の公邸も昔からこの通りにあり、多くの歴史ある邸宅が並んでいます。
F・スコット・フィッツジェラルドの生まれたのは大聖堂丘地区(とでも言うのかな、キャセドラルヒルと呼ばれています)のアパートビルです。また、妻のゼルダと生まれたばかりの赤ん坊とともに暮らしたのもサミット・アベニューのはずれにある家でした。
当時このエリアにはミネソタ州の政界や財界の人々が暮らし、フィッツジェラルドがパーティ等に出席した、大陸横断鉄道を開通させた鉄道王ジェームズ・J・ヒルの息子や、フィッツジェラルドとともにプリンストン大学に通学した友人などの家族も住んでいました。そうしたフィッツジェラルドの若き日々の軌跡が、そこここに残っているのがサミット・アベニューです。
ユニバーシティ・クラブという現在はイベントやパーティのスペースとなっているプライベートクラブは、その昔フィッツジェラルドが友人達と集った場所。彼が彫ったといういたずら書きが今もバーの一画に残っているといいます。
この通りには今も当時のミネソタ州の高級社交界の片鱗が家々のデザインや大きさ見ることができます。
セントポール市内にも彼の軌跡を辿る事ができます。ユニオン・ディーポという昔の駅舎が今も残っており、ここはフィッツジェラルドが大学へと旅立ち、「グレート・ギャッツビー」の中にも帰省のことが記されています。歴史史跡ホテルに指定されている有名なホテル「セントポール・ホテル」も彼が妻ゼルダとともに何度か逗留したとされ、バーには彼の肖像画が飾られています。
また彼の名前がついた劇場もあり、彼の功績を讃えています。
市街中心のライスパークの片隅に等身大のフィッツジェラルドの彫像が静かに建っています。目にする度に村上さんはこの彫像のことをご存知だろうかと考えます。村上さんはそのエッセイの中で、フィッツジェラルドの軌跡を訪ねてセントポールを訪れたことを語っています。多分村上春樹さんもサミット・アベニューを訪れ、その変わりない瀟洒な家並みを見て、フィッツジェラルドを身近に感じられた事だと思います。そう、サミット・アベニューというのは、そういう文学的な背景が似合うところです。

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